『前川印伝と甲州印伝の違い』

こんにちは。浅草前川印伝です。


「甲州印伝と何が違うのですか?」「このお店は山梨の印伝?」


店頭や催事売り場でお客様から1番多く頂く質問が「前川印伝は甲州印伝とは違うのか」「ここのお店は甲州印伝?」です。おそらく大多数の方が印伝は甲州印伝だけという印象をお持ちなのではないでしょうか。


デパートの呉服売り場や和雑貨店、お土産屋さん、神社仏閣などに置いてある印伝製品も甲州印伝がほとんどのため多くの人が印伝=甲州印伝と思われていると思います。


「印伝」「印傳」というのは鹿革に漆模様などで装飾をする技法のことを指します。


またよくお土産屋やネットなどで鹿革ではなく布でプリントしたものが販売されておりますが、それらは「印伝風」「印伝調」と表記されており、印伝ではありません。値段も全く違います。


鹿革自体はその軽さや耐久性の良さ、加工のしやすさから古くは弥生時代から武具などに使われており、奈良県に現在の鞣し工場のようなものがあったとされています。


江戸時代に入りその鹿革に漆を施す技法が甲州で生まれ、その後江戸の粋な町人らが印伝の巾着などを使うようになり発展していきました。

現在印伝のメーカーは主に山梨、奈良、東京の3つの地域にございます。山梨では甲州印伝、奈良では奈良印伝、東京は江戸印伝や浅草印伝などと呼ばれることもあります。


この理由は昔から奈良では鹿革の鞣し加工、山梨では鹿革の漆付け技法、浅草ではバッグなどの仕立ての職人が多く存在していました。そこから地域分業制で奈良では鹿革を鞣し、山梨ではその革に漆を施し、浅草などの仕立て職人が仕上げていくというようにして印伝が作られておりました。


弊社初代昭太郎も元々は仕立ての職人であり、各メーカーから依頼され印伝を含む様々な革製品の仕立て作業を行っておりました。それらのメーカーが独自に独立し、製造販売を行うようになり今の甲州印伝、浅草印伝(江戸印伝)、奈良印伝などが生まれています。

甲州印伝と前川印伝や他の印伝と何が違うのかといえば、鹿革に漆を施しそれを仕立てるという工程は同じであり、それぞれが違うメーカーであるということがお答えになります。

印傳の材料である鹿革や漆は現在どのメーカーもほとんどは海外からの輸入になります。


トンボや麻の葉など昔から続く伝統模様、色味は昔からある黒・白・赤などはどの印伝のお店でも基本的にお取り扱いはございますが、同じ柄であってもメーカーごとに形、デザインの違いがあります。


その他バッグの形やカラーバリエーション、柄模様などそれぞれのメーカー独自の商品も多数ございます。

浅草前川印伝の特徴としては、カラーバリエーションが豊富にあることが挙げられます。大量生産をしておらず、一部シリーズ商品を除いてほとんどの商品が一点物のお作りになり在庫を抱えていないため、かなりの数の色柄をご用意することができます。その取り扱っているカラー数の多さからパッチワーク印傳はマルチカラー、モノトーン、レッド、ブルー、グリーン、ピンク、イエロー、ブラックと豊富に製作しており、マルチカラーは色鮮やかにお作りしております。

工房とは別に店舗にも作業場があることも前川印伝の特徴として挙げられます。そのため営業中も職人やスタッフがミシンや革漉きなどで商品を製作しており、職人直営店だからこそのできることであります。

作業場があるため、定期入れの穴開けもその場で行えますし、財布のホック交換や合切袋の紐の交換などの簡単な修理等はお預かりいただかなくてもすぐにお直しができます。

また前川印傳では男性のお客様のご来店も多いため、袋物などの紳士向け商品も多数制作しております。合切袋は三サイズで計30種類以上は常時ご用意しており、バンブータイプも合わせると50種類以上ございます。



前川印傳では店舗が浅草にしかなく、中々ご来店いただけない方も多くいらっしゃいますので全国のデパートでの催事を積極的に行っております。

またオンラインショップもかなりの商品数掲載しておりますので是非ご覧ください。

読みもの

— 前川印伝を、読んで、知る。

商品カテゴリ

— 四季に合わせた伝統の和柄の数々